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歯が溶ける? 歯牙酸蝕歯に気をつけよう

歯が溶ける!「酸蝕症(さんしょくしょう)」にご注意を

「歯が溶ける」という現象は、虫歯のように細菌が出す酸によるものだけでなく、飲食物や胃酸などの酸が直接歯に作用することで起こります。これを**酸蝕症(さんしょくしょう)または歯牙酸蝕症(しがさんしょくしょう)**と呼びます。

近年、健康ブームや食生活の変化により、酸蝕症になる方が増えており、虫歯と並ぶ新たな問題として注目されています。


🦷 酸蝕症とは?

酸蝕症は、歯の表面にある硬いエナメル質が、酸性の物質によって化学的に溶かされてしまう病気です。

歯は通常、口の中が中性(pH7.0程度)に保たれていますが、pH5.5以下の酸性に傾くと、エナメル質の主成分であるカルシウムなどが溶け出し始めます(脱灰)。

症状のチェックポイント

酸蝕症は初期には自覚症状がほとんどありませんが、進行すると以下のような症状が現れます。

  • 冷たいものや熱いものがしみる(知覚過敏)

  • 歯の光沢や透明感がなくなる、または黄色っぽく変色する(エナメル質が薄くなり、内部の象牙質の色が透けるため)

  • 歯の先端や表面が丸みを帯びてくるへこんでくる

  • 詰め物や被せ物が取れやすくなる

  • 歯が薄くなり、欠けやすくなる


🚨 酸蝕症の主な原因

酸蝕症の原因は、大きく「外因性」と「内因性」に分けられます。

1. 外因性(飲食物など)

健康によいとされるものや、日常的に口にするものの中にも、強い酸性のものが多くあります。

分類 具体的な例 pHの目安
清涼飲料水 炭酸飲料、スポーツドリンク、エナジードリンク pH2.0~4.0
果汁・柑橘類 オレンジジュース、レモン、グレープフルーツ pH2.0~4.0
健康飲料 黒酢ドリンク、リンゴ酢、ビタミンドリンク pH2.0~4.0
その他 ワイン、酸っぱいキャンディ、一部のサプリメント

※歯が溶け始めるpHの目安は5.5以下です。

2. 内因性(体内の酸)

体内で発生した酸が口の中を酸性にしてしまうケースです。

  • 逆流性食道炎: 胃酸(pH1.0~2.0の強酸)が食道を経て口に逆流し、歯に触れる。

  • 摂食障害に伴う嘔吐: 頻繁な嘔吐により、胃酸が歯に直接かかる。

3. 職業性

酸性のガスや蒸気、粉塵を扱う工場(メッキ、バッテリー製造など)での労働によるもの。


🛡️ 歯を溶かさないための予防法と対策

酸性の飲食物を全く断つ必要はありませんが、**「酸が歯に触れる時間」「回数」**を減らすことが重要です。

予防のポイント 具体的なアクション
ダラダラ飲み・食べを避ける 酸性の飲食物は時間をかけずに飲み終える。間食や飲み物の頻度を減らす。
ストローを使う 酸性飲料を飲む際、ストローを使い、歯に直接触れる時間を減らす。
すぐに水やお茶で中和 酸性度の高いものを摂った直後に、水やお茶で口をゆすぐか飲む。これにより口内を早く中性に戻す。
食後すぐの歯磨きを避ける 酸で柔らかくなった歯をすぐに磨くと、歯が削れやすくなります。水でゆすいだ後、30分〜1時間ほど時間をおいて優しく磨きましょう。
唾液の働きを活かす よく噛むことや、シュガーレスのガム(特にキシリトール入り)を噛んで唾液の分泌を促す。唾液には酸を中和する働きがあります。
フッ素の活用 歯科医院で高濃度のフッ素塗布を受けたり、フッ素配合の歯磨き剤を使用し、歯の再石灰化(修復)を促し、歯を強化する。

ご自身の食習慣や体の状態に心当たりのある場合は、歯科医院に相談し、生活習慣の改善と定期的なチェックを受けることが大切です。

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